今まで数多くのモバイル翻訳端末を手掛けてきたShenzhen Timekettle Technologies Co.,Ltd.(本社:TIAN LI、本社:中国深セン)は、2022年9月30日、双方向の同時通訳を実現したイヤホン型翻訳機『Timekettle WT2 Edge』の販売を開始した。
ブランド | Timekettle |
モデル名 | Timekettle WT2 Edge |
カラー | ホワイト/ブラック |
システム要件 | Bluetooth 5.0、iOS 12.0 / Android 7.0以降の端末に対応 |
専用アプリ | Timekettle |
寸法(イヤホン) | 37.8×16.5×19mm |
寸法(ケース) | 58×58×27mm |
重量(イヤホン/ケース) | 5.4g(片側)/ 64g |
翻訳エンジン | Google/Microsoft/DeepL/iFlytek/HOYA |
充電時間 | 約1.5時間 |
稼働時間 | イヤホン単体:約3時間 充電ケースあり:約12時間 |
音楽視聴・通話 | 非対応 |
オンライン対応言語 | 日本語、中国語、広東語、英語、韓国語、アラビア語、アイスランド語、イタリア語、インドネシア語、ウクライナ語、ウルドゥー語、オランダ語、カタルーニャ語、ギリシャ語、クロアチア語、スウェーデン語、スペイン語、スロバキア語、スロベニア語、タイ語、タミル語、チェコ語、テルグ語、デンマーク語、ドイツ語、トルコ語、ノルウェー語、ハンガリー語、ヒンディー語、フィリピン語、フィンランド語、フランス語、ブルガリア語、ベトナム語、ヘブライ語、ポーランド語、ポルトガル語、マレー語、ルーマニア語、ロシア語 (方言除く) |
オフライン対応言語 | 日本語⇔(英語、中国語)、(英語、中国語)⇄(韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語) |
『Timekettle WT2 Edge』とは、イヤホンを耳に付けて話すだけでお互いの言語が翻訳されるウェアラブル翻訳機であり、相手の顔を見ながらハンズフリーで話せる快適さと、長い会話も瞬時に翻訳できる機能性を備えている。日常会話からビジネス商談まで存分に活用できるだろう。
本製品最大の特徴は、ハンズフリーかつリアルタイムでの双方向同時通訳が可能な点だろう。一般的な翻訳機では、一度に話せるのは一人だけで、もう一方は相手が話し終わるのを待つ必要がある。しかしWT2 Edgeでは双方向でリアルタイムに通訳することが可能なため、会話の速度と効率が大幅に向上する。
▼デュアル・ビームフォーミング・マイクと指向性音声認識を採用。隣の人の話し声やノイズで誤訳を起こす心配もなく、より高い翻訳精度を実現することができる。
双方向でリアルタイム翻訳ができる「同時通訳モード」、タッチ操作で翻訳したい内容だけを翻訳できる「タッチモード」、相手がイヤホンを付けなくても会話できる「スピーカーモード」、音声を聞き取りノンストップで文字起こしと翻訳を行う「リッスンモード」など、利用シーンに応じた4つの通訳モードが用意されている。
インターネット環境では、40言語(+53アクセント)のオンライン翻訳を利用可能。
また、ネットワークがない環境でも使えるオフライン翻訳は、日本語⇔(英語・中国語)、英語⇄中国語、(英語・中国語)⇄(韓国語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・ロシア語)といった、8言語13組の言語ペアから選択可能だ。
▼Google/Microsoft/DeepL/iFlytek/HOYA等大手の翻訳エンジンを搭載。世界15箇所にサーバーを配置し、安定した翻訳速度を保つ。
▼オフライン翻訳にも対応。インターネット接続ができない環境でも、安心して利用可能だ。
WT2 Edgeは、同ブランドの前世代機である「WT2 Plus」よりも46%軽く、33%小さくなっている。イヤホン片側の重さはわずか5.4gと軽量で、長時間装着していても疲れを感じさせないデザインだ。
▼充電ケースを含めると、最大約12時間の連続使用が可能。
言語の壁を超えるイヤホン翻訳機として、非常に実用性の高いモデルとなっている。
今回、提携先より本製品(オフライン翻訳対応モデル)を提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子。
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- 充電ケース
- イヤホン×1
- イヤーチップ×2セット
- イヤーフック×1セット
- 取扱説明書
- 操作マニュアル
- Type-C充電ケーブル
- Fishカード
▼操作マニュアルは英語記載のみ。
▼取扱説明書は日本語記載にも対応している。
▼安定した装着感を実現するためのイヤーフックが1セット付属。
▼耳の大きさに合わせて交換できるイヤーチップが2セット付属。
充電ケース
製品には収納とイヤホンの充電器を兼ねた充電ケースが付属する。Type-Cケーブルによる有線充電に対応。
▼指でつまめるほど非常にコンパクトなサイズ。
▼底部には充電ケースのバッテリー残量を示すLEDインジケータが用意。
▼イヤホンが内蔵された状態でフタを閉めると、インジケータが点灯してバッテリー残量を示す。ただ、インジケータの点灯が弱めで見づらい点が気になった。
▼上部には充電用のType-Cポートが用意。
▼ケース重量は約64gと非常に軽く、ズボンのポケットにもラクラク入るサイズだ。
▼フタをカパッと開けると、左右のイヤホンがスッポリ収まっている。
イヤホン本体
イヤホン本体も非常にコンパクトなサイズとなっている。
▼気を付けないと紛失し兼ねないほど小さい。
▼側面にはLEDインジケータとタッチパネルが内蔵されている。
▼左右のイヤホンのタッチパネルに触れることで、タッチモードでの翻訳時に翻訳音声を瞬時に切り替えることができる。
AirPods Proとの比較
▼本製品(画像右)と私が所有するAirPods Pro(画像左)を並べた様子。
▼AirPods Proとほぼ同等のサイズ。
スマートフォンとの接続(ペアリング)方法
『Timekettle WT2 Edge』はBluetoothによるワイヤレス接続に対応しており、接続(ペアリング)方法はいたってシンプルだ。
まず、公式の専用アプリ『Timekettle』をスマートフォンにインストールする。
▼無料の専用アプリ(iOS 12.0 / Android 7.0以降対応)
インストール後、アプリを起動して「WT2 Edge」を選択。
そしてケースから左右のイヤホンを取り出し、アプリ起動中のスマホへ近づけると、自動的に認識されて接続が完了する。
これだけの手順で接続を完了できる。
次回以降は、ケースのフタを開くだけで自動的に接続されるようになるため、この手のデバイスの扱いが苦手な方でも、全く問題なく使用することができるだろう。
非常に快適な装着感
実際にイヤホンを装着してみた。
イヤホン自体は片側5.4gほどしかなく、装着しても重さや不快感などは一切感じない。
長時間装着し続けても耳が痛くなったり、疲れることは無かった。
数あるワイヤレスイヤホンの中でも、実に快適な装着性を実現できていると言える。
装着した状態で動き回った場合でも落ちてしまうことはなく、付属のイヤーフックで安定性をさらに向上させることも可能。移動中でも安心して翻訳機能を利用できるだろう。
4種類の優れた翻訳機能
実際に『Timekettle WT2 Edge』を使用して、翻訳機能を試してみた。
なお、今回のレビュー時には外国人の知り合いを呼び、筆者(日本語)⇔ 知り合い(英語)の会話の翻訳をテストした。
アプリのメインメニューより、以下の4種類の翻訳モードを選択できる。
- サイマル(同時通訳)モード
- スピーカーモード
- リスニングモード
- タッチモード
各モードには向き・不向きがあり、翻訳の場面に応じて殉難に使い分けると良いだろう。
サイマル(同時通訳)モード
「サイマル(同時通訳)モード」とは、話者2人が各自1つずつイヤホンを装着し、双方で直接会話を行うことのできるモードだ。
リアルタイムでの同時通訳会話を楽しめる、最もスタンダードなモードだと言える。
メリットとしては一番自然なカタチで異言語会話を楽しめる点が挙げられる。一方デメリットとしては、双方がイヤホンを1つずつ装着する必要があるため、人によっては抵抗感があるという点だろう。
▼実際の会話の様子。
スピーカーモード
「スピーカーモード」は、スマートフォンのスピーカーを使って会話ができるモードだ。道を聞いたり、お店で注文したいときなどに役立つだろう。
本モードに関しては、今回のレビュー時には使用していない。
リスニングモード
「リスニングモード」は、聞き取り専用モードだ。スマートフォンに向かって話してもらうことで、画面上には文字起こし、イヤホンには翻訳音声がノンストップで流れる。
▼実際の会話の様子
タッチモード
「タッチモード」は、イヤホン側面、もしくはアプリ画面をタッチして話すと翻訳してくれるモードだ。話したい(翻訳したい)内容を確実に翻訳してくれるため、こちらも双方向の会話に適している。
「サイマル(同時通訳)モード」と比べて、お互いに順序を守って会話する場合に向いている。
▼実際の会話の様子
スムーズな翻訳が可能
実際に上記のモードを利用して英語話者との会話を行ってみたが、非常にスムーズな会話を実現できていた。翻訳の精度が高く、多少早口で喋っても会話内容がキチンと認識されるため、ストレスなく日本語⇔英語での会話を楽しめた。
▼ベクトルノイズ除去機能を搭載したマイクの認識精度は高い。
さすがに特定のスラングや専門用語などを話すと正常に翻訳されないこともあるが、ハッキリと(各言語の)標準語を話すぶんには、互いに違和感なく相手の会話内容を認識することが出来ていた。
音質も良好で聞き取りやすく、アプリ操作も簡単なため、初めて会った異言語の方と『Timekettle WT2 Edge』を使用する場合でも、支障なく会話を楽しめるだろう。
個人的に最も役立つと感じたモードは、「タッチモード」と「リスニングモード」の2つだ。
「タッチモード」に関しては、トランシーバーのように話者たちが互いに話すタイミングを調節するため、サイマル(同時翻訳)モードよりも翻訳精度が高いように感じられた。おそらくタッチモードでは交互に落ち着いて丁寧に喋るようになるぶん、AIが会話内容を認識しやすいのだろう。
▼互いのイヤホンの側面をタッチすることで、会話する側・聞く側を切り替えることが出来る。
▼もしくは、アプリ上の画面をタップすることでも、話者を切り替えることが可能。
▼交互に発言するため、一言一言の認識精度が高く、スムーズな会話が可能。
会話内容に齟齬が許されない重要な場面などにおいては、タッチモードの使用をオススメしたい。
また「リスニングモード」では、相手にスマートフォンに向かって話してもらうことで、画面上には文字起こし、イヤホンには翻訳音声がノンストップで流れていく。
これは異言語の相手側からの一方的な説明を理解したい場合に活用できるのはもちろん、リアルタイムで途切れることなく翻訳が行われるため、異言語の映画やドラマを視聴する場合にも活用できるモードとなっている。
▼海外ドラマ(英語)を日本語に翻訳しながら視聴することも可能であった。
▼海外(英語)のドキュメンタリー番組をリアルタイムで日本語翻訳した際の様子。細かな点で翻訳のおかしな部分が見受けられるものの、会話内容の大筋は十分に掴むことのできる翻訳精度であった。
会議などの場面以外にも、言語学習を行う場合にも適した機能であると言える。
もちろん、サイマル(同時翻訳)モードを使用した同時翻訳の精度も高く、十分に自然な会話を楽しむことが出来た。翻訳のタイムラグがほぼなくリアルタイムで途切れることなく翻訳できる点は素晴らしい。
いずれもモードでも、所々で訳の荒い部分が目立つことは事実だが、話者が本製品の癖や特長を理解することができれば、より正確で自然な翻訳会話を楽しめるようになるだろう。
なお、文節の間の取り方の癖に合わせて会話の一時停止時間を調節する機能や、周囲の環境音の大きさに応じて会話音声の抽出強度を上げる機能なども用意されている。
▼これらの機能を活用することで、より精度の高い翻訳が可能となるだろう。
オフライン翻訳機能も用意
上述した翻訳例はすべてオンライン環境で実施したものだが、インターネット接続のできないオフライン環境でも、翻訳機能を利用することが出来る。
▼飛行機の中など、通信が制限される環境でも翻訳機能を利用可能。
ただ、オフライン翻訳機能を利用するためには、オフライン翻訳言語パッケージを購入する必要がある。
▼オフライン翻訳言語パッケージの購入には、"Fish" と呼ばれる特殊なポイントを利用する。
▼本製品には、30 Fishのカードが付属していた。
オフライン翻訳言語パッケージは8言語13組用意されており、いずれも5 Fishで購入できる。
パッケージを購入すると、アプリ上に翻訳ツールがインストールされ、インターネット接続できないオフライン環境でも、オンライン環境と同様の高度な翻訳機能を利用できるようになる。
翻訳頻度の高い言語ペアに関しては、いざという時のためにオフライン用パッケージを購入しておいても良いだろう。
『Timekettle WT2 Edge』のまとめ
今回紹介した『Timekettle WT2 Edge』について、特徴をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- 軽量で着け心地の自然なイヤホン
- 精度の良い翻訳機能
- 場面に応じて使い分けられる4種類の翻訳モードが用意
- リアルタイム同時翻訳に対応
- 感度の良い内蔵マイク
- 言語学習にも活用できる
- オフライン環境でも翻訳機能を利用可能
悪かった点
- オフライン翻訳言語パッケージは有料(1つごとにFishが必要)
- 翻訳は完ぺきではない(所々で翻訳のおかしい点が見受けられる)
以上の通り、自然でストレスのない同時翻訳を行うことのできる、高性能なイヤホン型翻訳機となっている。
翻訳精度は良好で、異言語ネイティブ同士で会話した場合でも、スムーズかつ自然に翻訳することが出来ていた。
翻訳モードも4種類用意されており、用途や条件に応じて使い分けが出来る点も嬉しい。
何より、オフライン環境でも翻訳機能を利用できるのは素晴らしい。いざという時にインターネット接続が不通で翻訳機能を利用できない、といった事態を避けることが出来る。
翻訳は決して完璧ではなく、所々で訳がおかしかったり、正常に音声を認識できないこともあった。しかし翻訳機の癖を理解して話し方を工夫したり、アプリの設定を調節することで、翻訳精度をさらに高めることは可能だ。
翻訳機としてだけでなく、言語学習装置としても活用できる、利便性の高いイヤホン型翻訳機である。
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