数多くのPC関連商品を手掛けるGMKtecは、AMD Ryzen9 8945HSを搭載した手のひらサイズの高性能ミニPC『GMKtec K11』を販売しています。
Amazonや楽天にて税込12万円前後で購入可能。不定期実施のセールで税込9万円前後になることもあります。
動画編集や3Dレンダリングといった高負荷作業から中負荷のゲームまで快適に処理できるデスクトップ級のパワーを発揮。グラフィックスはAMD Radeon 780Mを内蔵し、FSR 2.0+対応で1650〜1650 Super相当クラスに匹敵する描画性能を実現したモデルです。
メモリは32GB DDR5(最大96GB対応)、ストレージは1TB PCIe 4.0 SSDを標準搭載し、最大8TBまで拡張可能。
優れた性能と拡張性を併せ持った一台です。
こんな方におすすめ!
- 動画編集・3Dレンダリング・ゲームなど、高負荷作業を小型PCで快適にこなしたい方
- 複数モニターを使ったマルチタスクやクリエイティブ作業に取り組む方
- 外部GPUや大容量ストレージ拡張など、将来的な拡張性も重視する方
今回、提携先より本製品(32GB RAM + 1TBストレージ版)を提供していただいたので、実際に使って感じた「良かった点・悪かった点」をレビューしていきます。
▼ショート動画を投稿しました!使用感はコチラでも確認いただけます。
『GMKtec K11』の仕様・スペック表
| ブランド | GMKtec |
| 型名 | K11 |
| OS | Windows 11 Pro |
| CPU | AMD Ryzen 9 8945HS、Zen4 アーキテクチャ、8コア 16スレッド、最大 5.2GHz |
| グラフィックス | AMD Radeon 780M グラフィックス |
| RAM | 32GB/64GB DDR5 5600 Mhz(最大96GBまでの拡張サポート) |
| ストレージ | 1TB/2TB M.2 2280 PCIe 4.0 SSD(最大8TBまでの拡張サポート) |
| 対応通信規格 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、有線LAN |
| インターフェース | 【前面】 ・電源ボタン ・3.5mmジャック ・USB Type-A 3.2 Gen 2×2 ・USB4 (PD/DP/データ転送) ・Oculink PCIE 4.0 【背面】 ・DC電源ポート ・ケンジントンロック穴 ・USB4 (PD/DP/データ転送) ・2.5GbE(RJ45)×2 ・HDMI 2.1 (8K@60Hz) ・DisplayPort 2.1 (8K@60Hz) ・USB Type-A 2.0 ×2 |
| VESA | 100mm / 75mm対応 |
| 本体サイズ | 132×125×58mm |
| 本体重量 | 公称値:523g 実測値:約626g |
参照元:GMKtec公式サイト(GMKtec Nucbox K11 製品ページ)
▼GMKtec K11実機のバージョン情報
『GMKtec K11』のパッケージ内容
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子
内容物一覧
- GMKtec K11本体
- 電源アダプタ&ケーブル
- ユーザーマニュアル
- VESAマウント金具&ネジ
- HDMIケーブル
VESAマウント金具&ネジが付属しており、モニター裏に取り付けることで、デスク周りをさらに省スペース化できます。
電源アダプタはそこそこ大きめのサイズなので、置くスペースは確保する必要があります。
『GMKtec K11』本体の外観&インターフェース構成
『GMKtec K11』の本体サイズは、132×125×58mmとコンパクト。全体的に黒色を基調としたスタイリッシュなデザインで、天板は内蔵ファンが見えるスケルトン仕様となっています。
メカニカルな見た目で、筆者のようなガジェット好きには刺さるデザインです。
手のひらに載せられるほどのサイズ感で携行性もGOOD。カバンなどに入れて外出先へ気軽に持ち運ぶことも可能です。
筐体の手触りはサラサラしており、指紋や皮脂などの汚れが目立ちづらいです。
底部の四隅にはゴム脚が備わっているほか、換気用の穴が空いています。また、VESAマウント取り付け用の穴も用意されています(100mm / 75mm対応)。
▼筐体外観(360度)
小型デザインのおかげで、実際にデスク上に設置してもスペースを取らず、邪魔には感じません。
マウスと並べると、ミニPCの小ささが際立ちます。
PCの電源を入れるとファンの周囲に内蔵されたLEDが点灯して、ゲーミングデバイス調のキレイな発光が見られます。
『GMKtec K11』のインターフェースについて見ていきます。
正面には 電源ボタン、3.5mmジャック、USB Type-A 3.2 Gen 2×2、USB4 (PD/DP/データ転送)、Oculink PCIE 4.0 が用意。
左右側面には通気用の穴が空いています。
背面には DC電源ポート、ケンジントンロック穴、USBA 4.0 (PD/DP/データ転送)、2.5GbE(RJ45)×2、HDMI 2.1 (8K@60Hz)、DisplayPort 2.1 (8K@60Hz)、USB Type-A 2.0 ×2 が用意。
限られたスペースに充実のポート類が集約されたインターフェース構成となっています。
USB4×2、HDMI 2.1、DisplayPort 2.1を併用することで、最大4画面同時出力が可能です。
『GMKtec K11』の拡張性
GMKtec K11の天板の端を左向きに回すことで、天板を簡単に取り外すことができます。
そして上部のネジをドライバーで取り除くことで、内部基盤・拡張スロットにアクセスできます。
最大96GBまでのRAM拡張、およびデュアルM.2スロットを使用した最大8TBまでのSSD増設をサポート。拡張スロットへ簡単にアクセスできる点は便利です。
なお、1TBモデルの内蔵ストレージは、初期状態で827GB分が使用可能領域となっていました。
『GMKtec K11』のベンチマークテスト結果
『GMKtec K11』で、各種ベンチマークテストを行った結果を紹介していきます。
Windowsエクスペリエンスインデックスの結果
▼Windowsエクスペリエンスインデックスの実測結果
| 項目 | スコア |
| プロセッサ | 9.4 |
| メモリ(RAM) | 9.4 |
| グラフィックス | 8.2 |
| ゲーム用グラフィックス | 未計測 |
| プライマリディスク | 9.5 |

CrystalDiskMarkの結果
▼CrystalDiskMarkの実測結果
| 項目 | Read(MB/s) | Write(MB/s) |
| SEQ1M Q8T1 | 5163.55 | 4694.52 |
| SEQ1M Q1T1 | 2957.68 | 4556.89 |
| RND4K Q32T1 | 652.21 | 361.51 |
| RND4K Q1T1 | 71.82 | 258.61 |

PCMARK10の結果
▼PCMARK10の実測結果
| 項目 | スコア |
| 総合スコア | 6,972 |
| Essentials | 9,980 |
| Productivity | 9,374 |
| Digital Content Creation | 9,832 |

Cinebench 2024の結果
▼Cinebench 2024の実測結果
| 項目 | スコア |
| シングルコア | 107 pts |
| マルチコア | 915 pts |

3DMARKの結果
3DMARKの各テスト結果を紹介していきます。
Time Spy & Night Raid
| テスト | 総合 | グラフィックス | CPU |
| Time Spy | 3,343 | 2,979 | 10,915 |
| Night Raid | 30,926 | 37,289 | 15,724 |

Fire Strike
▼Fire Strikeのスコア結果
| 項目 | スコア |
| 総合スコア | 7,983 |
| グラフィックススコア | 8,647 |
| 物理スコア | 27,584 |

Port Royal
▼Port Royalのスコア結果
| 項目 | スコア |
| 総合スコア | 1,509 |
| グラフィックステスト | 6.99 FPS |

CPUプロファイル
▼CPUプロファイルの実測結果
| 項目 | スコア |
| 最大スレッド数 | 7,156 |
| 16スレッド | 7,334 |
| 8スレッド | 6,409 |
| 4スレッド | 3,808 |
| 2スレッド | 1,963 |
| 1スレッド | 1,005 |

Storage Benchmark
▼Storage Benchmarkの実測結果
| Storage Benchmark 結果 | ||
| 総合スコア | 3,037 | |
| 各テスト項目の詳細 | ||
| テスト内容 | 帯域幅(MB/s) | アクセス時間(μs) |
| Battlefield Vを読み込む | 804.48 | 92 |
| Call of Duty: Black Opsを読み込む | 794.92 | 87 |
| Overwatchを読み込む | 412.81 | 59 |
| ゲームをインストール | 264.25 | 51 |
| ゲームを録画 | 232.42 | 36 |
| ゲームを保存 | 248.72 | 30 |
| ゲームを移動 | 2516.45 | 105 |

普段使いは非常に快適
GMKtec K11でウェブサイトを閲覧したり、動画サイトを視聴して、普段使いの快適さを検証しました。
なお、レビュー時にはウルトラワイドモニターに接続し、3440×1440解像度・100fpsで出力しています。
まずはウェブサイト閲覧時について。
画像の多いサイトから、スクリプトを多用したサイトまで閲覧してみましたが、どのサイトでもページ遷移・読み込みはスムーズであり、終始快適に閲覧することができました。
一般的なウェブサイト閲覧において、ストレスを感じることはありません。
続いて、YouTubeやネットフリックスなどで動画を視聴してみました。
最高4K画質で動画を再生しましたが、カクつきが生じたり、動画が途中でストップしてしまうことはなく、快適に視聴できました。
そしてOfficeソフト等を用いた作業について。
WordやExcel、PowerPointといったOfficeアプリの動作も軽快で、資料作成や表計算、スライド編集がストレスなく行えました。
Officeソフトとウェブブラウザを同時に立ち上げても処理落ちすることなく、ビジネス用途でも安心して活用できます。
なお、3画面同時出力の場合でも、処理パフォーマンスの低下は感じられませんでした。
総じて、日常的な利用シーンでの使用感は快適で、性能不足を感じる場面はありませんでした。
中負荷程度のPCゲームもスムーズにプレイ可能
本機は内蔵GPUに「AMD Radeon 780M」を採用しており、AAA級の重量級タイトルを快適に遊ぶのは難しいものの、低~中負荷のPCゲームであれば設定次第でスムーズに楽しめる性能を備えています。
DQ10のベンチマークテスト結果
テスト条件
- 1920×1080解像度
- 最高品質
- フルスクリーン
ドラゴンクエストX (DQ10)でベンチマークテストを行った結果、FHDフルスクリーン×最高品質で "すごく快適" という結果が得られました。
MMORPG系でも、DQ10のようなライトタイトルであれば、最高品質でも快適に遊べることが分かります。
FF14のベンチマークテスト結果
テスト条件
- 1920×1080解像度
- 標準品質(デスクトップ) / 高品質(デスクトップ)
- ウィンドウモード
ファイナルファンタジーXIV (FF14)では、高品質・標準いずれの設定でも「普通」の評価となりました。設定を調整すれば、FF14レベルの大規模MMORPGでも基本的なプレイ自体は問題ありません。
フォートナイトを実際にプレイしてみた
実際にフォートナイトをプレイしたところ、序盤のプレイヤーが密集する場面では一時的にフレームレートが多少落ちることがありましたが、中画質でも60fps以上、低画質では100fps前後を維持できていました。
▼中画質設定時のfps
▼フォートナイトをプレイする様子(中画質設定時)
描画は安定しており、操作レスポンスも良好で、実用的には十分スムーズに遊べるレベルです。
内蔵GPU搭載ミニPCとしては十分に健闘しており、画質設定を中程度に調整すれば、eスポーツタイトルとしてのフォートナイトでも快適にプレイ可能できることが確認できました。
その他PCゲームのパフォーマンス予測
3DMarkのNight Raidの実測結果より推定された、各タイトルにおける『GMKtec K11』のゲームパフォーマンス予測値(平均フレームレート)を、参考までに掲載します。
▼パフォーマンス予測値
| ゲームタイトル |
平均フレームレート予想値 | |
| 1440p Ultra | 1080p Ultra | |
| 35+ FPS | 65+ FPS | |
| 50+ FPS | 120+ FPS | |
| 20 FPS未満 | 150+ FPS | |
| 20 FPS未満 | 40+ FPS | |
| 30 FPS未満 | 185+ FPS | |
※本予測値は、3DMark Night Raid のスコアをもとに算出されています。実際のフレームレートは描画APIやドライバ設定、FSRの有無により変動します。
以上の通り、解像度を1080pまで落とせば、人気PCゲームをそこそこ快適なパフォーマンスで遊ぶことができると予想されます。
優れた静音性&放熱性能
計5時間ほど、各種ベンチマークテストや日常利用におけるパフォーマンスを確認した後、HWMonitorで筐体の発熱を確認してみました。
▼計測値(室温27℃、Cinebenchや3DMARKなど実行後)
コアで最大44.5℃、パッケージでも49.3℃と、高負荷時でも50℃前後に収まっており、冷却性能の高さが際立ちます。
キャッシュや内蔵GPU、SoC部分もいずれも40℃未満で安定しており、熱暴走や性能低下の心配はほとんどありません。さらにSSDの温度も36〜39℃程度と低く、ストレージへの熱影響も見られない点は安心です。
総じて、冷却システムがしっかり機能しており、長時間の高負荷作業でも安定したパフォーマンスを維持できる設計であることが確認できます。
そして静音性に関しても優秀で、5時間連続稼働後でもファン音は非常に静か。高負荷時にこそファンの回転音が若干大きくなることはあるものの、その後はすぐ静音状態に戻ります。
オフィス作業や動画視聴時には耳を近づけてもほとんど気にならないレベルでした。
▼稼働音の確認
※録音には空調音も入っています。ご容赦ください。
長時間のベンチマークや実用作業を行っても、熱による性能低下や過剰発熱はなく、静音・安定動作が維持できている点は好印象です。
安心して長時間の作業用途に利用できるミニPCであると言えます。
『GMKtec K11』の良かった点・悪かった点
今回紹介した『GMKtec K11』を実際に使って感じた「良かった点・悪かった点」をまとめると以下の通りです。
良かった点
- AMD Ryzen9 8945HSによる優れたパフォーマンス
- スタイリッシュでメカニカルなデザイン
- LED内蔵ファンの点灯が綺麗
- 充実のインターフェース構成
- RAM最大96GB・デュアルM.2で最大8TBまで拡張可
- 優秀な冷却性能&静音性
- ストレージの実効速度が速く、起動・ロード・データ移動が快適
- 手のひらサイズで設置性が良い
悪かった点
- 電源アダプタが大きめで設置スペースを選ぶ
- 公称523gに対し実測約626gとやや重め
- Oculinkはホットプラグ非対応で取り扱い注意
- 価格は通常時12万円前後とやや高め(セール時が狙い目)
よくある質問(FAQ)



総評:ミニPCの枠を超えた処理性能を実現したモデル
『GMKtec K11』は、Ryzen 9 8945HSとRadeon 780Mを搭載したことで、ミニPCの枠を超えた処理性能を実現したモデルとなっています。
ベンチマーク結果からもわかるように、動画編集や3Dレンダリングなどの高負荷作業をこなしつつ、軽〜中量級のゲームであれば快適にプレイ可能。さらに32GB DDR5メモリや1TB PCIe 4.0 SSDを標準搭載し、拡張性も高いため、長期的な運用にも向いています。
冷却性能は優秀で、高負荷時でも温度を50℃前後に抑え、静音性も良好。デュアル2.5G LANやWi-Fi 6、豊富なインターフェースも魅力で、NASやホームサーバーとしての運用にも適しています。
一方で、レイトレーシングを使った最新AAAゲームや、4K超高設定での高負荷ゲーミングには力不足です。ヘビーなゲーミングもこなしたい場合は、Oculinkを利用した外部GPUの活用を視野に入れると良いでしょう。
総じて、コンパクトな筐体にデスクトップ級の性能と拡張性を詰め込んだ、バランスの取れたハイエンドミニPCです。
高い処理性能を求めつつ、省スペースや静音性も重視するユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢になるでしょう。
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