数多くのペンタブレットを手がけるXP-PENから、新開発のX-DialショートカットキーとX4スマートチップ搭載スタイラスを採用した最新液タブ『Artist 12 3rd』が登場します。
日本国内の発売時期は2025年11月14日(金)。メーカー希望小売価格は税込29,980円です。
ディスプレイには11.9インチ・フルHD液晶(1920×1080)を採用し、99% sRGB/97% Adobe RGB/97% Display P3の広色域とΔE<1.2の高精度カラー再現を実現。AGナノエッチングガラスとAFコーティングにより、紙のような描き心地と反射・指紋防止を両立しています。
そして新開発の「X-Dial」を搭載し、ズーム・ブラシサイズ・レイヤー操作などを親指ひとつで自在にコントロール可能。作業効率を飛躍的に向上できます。さらに16,384段階の筆圧検知と2gの初期反応力を誇るX4スマートチップスタイラスにより、繊細な筆運びや高速応答を実現する一台となっています。
こんな方におすすめ!
- 持ち運びしやすい液タブを探している方
- 紙のような描き心地と高精度を求める方
- リーズナブルな価格で高品質な液タブを求める方
今回、メーカーより本製品を提供していただいたので、実際に使って感じた「良かった点・悪かった点」をレビューしていきます。
※本記事で使用している一部の画像・素材はFreepikより提供されています。
『XPPen Artist 12 3rd』のスペック表・パッケージ内容
| 製品名 | XPPen Artist 12 3rd(日本限定版) |
| メーカー | XP-PEN |
| 表示サイズ・解像度 | 11.9型・1920×1080(フルHD) |
| 色域・色精度 | sRGB 99%/Adobe RGB 97%/Display P3 97%、ΔE < 1.2、16.7M色 |
| 表面・視認性 | AGナノエッチングガラス+AFコーティング(紙質感・反射/指紋抑制)/DC調光(目の負担軽減) |
| 操作系 | X-Dialショートカット(ダイヤル×2+カスタマイズキー×8)※ズーム/ブラシ径/レイヤー操作などに対応 |
| 付属ペン | X4スマートチップスタイラス(磁気取付対応)/初期反応力2g/応答速度最短約30ms/筆圧16,384レベル/高精度チルト認識/左右利き両対応/人間工学デザイン |
| 接続 | フル機能USB-C to USB-C(単一本接続対応)/3-in-1ケーブル同梱 |
| 同梱品 | 液晶ペンタブレット本体、X4スマートチップスタイラス、替え芯×10、芯抜き、フル機能USB-C to USB-Cケーブル、3-in-1ケーブル、保証書兼ドライバーダウンロードカード、折りたたみスタンド、イラスト版二本指グローブ、イラスト版クリーニングクロス、イラスト版キーホルダー、イラスト版絵葉書、フェルト替え芯 (通常5本) |
| 日本限定版の特典 | @はむメロン先生 描き下ろし特別パッケージ/限定イラスト仕様グローブ・クロス/キーホルダー・絵葉書 追加/ フェルト替え芯+10本追加(合計15本想定) |
| 本体サイズ | 約32.8×19×1.2cm(実測値) |
| 本体重量 | 約730g(実測) |
※参照元:メーカー提供資料
パッケージ内容・付属品
▼パッケージ内容物をすべて取り出した様子
なお、今回のレビューでは通常パッケージ版を使用していますが、日本限定版では以下の違いがあります。
日本限定版の違い
- 化粧箱デザインの違い(@はむメロン先生の描き下ろしイラストを使用した特別デザイン仕様)
- 二本指グローブとクリーニングクロスが、限定イラストデザイン仕様
- イラスト版・キーホルダーとイラスト版・絵葉書を新たに追加
- フェルト替え芯を10本追加
▼日本限定版のパッケージ内容
パッケージには折りたたみスタンドが付属しており、折りたたんだ状態だとコンパクトかつ薄型になるため、携行性も良好。
展開して液タブを置くと、描きやすい角度で固定できます。
そのほか、フル機能USB-C to USB-Cケーブルに加えて、従来型の3-in-1ケーブルも付属。USB-Cポートを搭載していないPCやノートPCでも使用できるようになっています。
▼液タブに接続するType-C側はL字になっており、接続時に出っ張らずデスク周りをスッキリ収めることができます。
Artist 12 3rd 本体の外観
Artist 12 3rd 本体は、薄型・軽量・高質感を追求したデザインが特徴的です。
11.9インチディスプレイを備えた筐体サイズは、実測で約32.8×19×1.2cm・約730g(実測値)と非常にコンパクト。カバンやリュックにもすっきり収まるサイズ感で、外出先での使用にもうってつけです。
角の丸みを抑えたフラットなデザインはスタイリッシュで、メタリック調の筐体には多少の高級感もあります。ベゼルは前世代よりも大幅にスリム化されており、描画領域がより広く感じられます。
▼片手でラクラク持ち上げられるコンパクトさ・軽さ。
▼厚みは約1.2cmと薄く、カバンに入れて持ち運んでもかさばりません。
▼裏面の四隅にはゴム脚が備わっており、デスク上に設置した際に滑りづらくなっています。
ディスプレイ表面にはAGナノエッチングガラスとAF(防汚)コーティングを採用。紙のような自然な描き心地を再現しつつ、光の反射を抑え、指紋や擦れ傷を防止します。
インターフェースについて見ていきます。
左側面には、XP-PENが新たに開発した「X-Dialショートカットキー」が用意。2つのダイヤルホイールと8個のカスタマイズキーを組み合わせることで、ズーム・ブラシサイズ・レイヤー切り替えなどの操作を指ひとつで直感的に行えます。
右側面には電源ボタン、輝度調節ボタンに加えてフル機能USB-Cポートを搭載し、対応デバイスには映像出力・電力供給・データ転送をケーブル一本で行うことが可能です。
そして上部にはマグネット式スタイラスホルダーを備え、付属のスタイラスペンを磁力でしっかり固定して安全に持ち運ぶことができます。
磁石による吸着力は強く、液タブを持ち上げたり軽く振ったりしても落ちてしまうことはありませんでした。
全体として『Artist 12 3rd』は、持ち運びやすさとデザイン性のいずれも完成度の高い仕上がりとなっています。
X4スマートチップスタイラスペン
本機に同梱されるX4スマートチップスタイラスは、従来のペンと比べてデザイン性が高く、マットな質感のグラファイトブラックとグレーを基調とした上品な仕上がりです。
先端近くには2つのカスタマイズ可能なショートカットボタンを搭載。筆と消しゴムの切り替えや、右クリック/スポイトツールなど、よく使う機能を自由に割り当てることができます。
そして性能面では、16,384段階の筆圧検知と2gの初期反応力、30msの超低遅延を実現。さらにチルト検知の精度も向上しており、ペンの角度による陰影表現も滑らかで、鉛筆のような自然な書き心地を再現します。
紙に描く感覚に近い仕上がり
実際にArtist 12 3rdに色々と描いてみました。
最初の感想として、本機の書き心地はまさに “紙に描く感覚” に近い仕上がりだと思いました。ディスプレイ表面にはAGナノエッチングガラスが採用されており、ペン先が適度に抵抗を受けることで、鉛筆やペンで紙に描いているような摩擦感を再現しています。
▼描いている様子
▼滑りすぎず、引っかかりすぎない絶妙なバランスで、ラフなスケッチから繊細な線画まで、思い通りにコントロールできます。
さらに、AFコーティングにより指紋などが付きにくく、作業時に画面が汚れで曇ったり、皮脂汚れで不快感を覚えることはありませんでした。反射も抑えられているため、強い照明の下でも視認性が高く、作業に集中しやすいです。
▼強めのデスクライトの下で使用していますが、画面の照り返しによる見づらさはまったく感じませんでした。
そして付属のX4スマートチップスタイラスは、16,384段階の筆圧検知とわずか2gの初期反応力を備え、軽く触れただけでも線がスムーズに反映されます。レスポンスも非常に速く、遅延や波打ちがほとんど感じられません。
▼画面から約1cm離れた位置でもカーソルが反応する精度の高さ。
筆圧の強弱に対する反応も自然で、インクや鉛筆の濃淡表現が非常に滑らか。チルト検知の精度も高く、傾け描きにも正確に追従します。
また、ディスプレイは指によるタッチ操作に対応していないため、誤反応の心配がなく、手を画面に乗せたままでも快適に描けます。紙の上で描くように自然な姿勢で作業できるのは大きなメリットです。
総じて、本機の描画体験は "軽快さ × 精度 × 自然さ" を高レベルで融合した完成度といえます。この価格帯(3万円未満)の液タブの中でもかなり優れた描き心地と感じました。
非常に優れた発色の液晶パネル
本機の液晶パネルの発色はかなり良いです。
解像度はフルHD(1920×1080)ながら、sRGB 99%/Adobe RGB 97%/Display P3 97%という広色域に対応するうえ、ΔE<1.2という高い色精度を実現。発色が非常に鮮やかで、グラデーションも滑らかに再現されています。
▼赤や青といった強めの色の発色が濃く、深みがある点が印象的。
彩度の高い色がしっかりと描画されるため、モニター上で見た色と最終的に出力する成果物との差が少ないのが強みです。黒の締まりも良く、明暗差の表現がはっきりしているため、コントラストの高いイラストや陰影表現も正確に描けるでしょう。
▼光の映り込みが少なく、どの角度から見ても色の変化が少ないため、長時間の作業でも疲れにくいのもポイント。
なお、発色の鮮やかさはイラスト制作だけでなく、YouTubeなどの動画再生時にも感じられます。色の深みとコントラストがしっかり出るため、鮮やかで満足度の高い映像体験が可能です。
▼動画再生時の様子
また、フルHD解像度で表示品質が十分高いため、ウェブサイト閲覧や資料作成でも快適です。
イラスト制作などのクリエイティブ用途だけでなく、PCのサブディスプレイとしても十分活躍できる実用性を備えています。
公式ドライバーで詳細なカスタマイズが可能
XP-PEN公式サイトで配布されているドライバーをインストールすることで、本機のショートカットキー・ダイヤル機能を詳細にカスタマイズできます。
専用ドライバーでは、以下のような項目を直感的に設定できます。
公式ツールのおもな設定項目
- ショートカットキーやダイヤルの割り当て変更
- 筆圧カーブの細かな調整
- ペンボタンの機能割り当て
- 表示位置・キャリブレーションの調整
▼公式ツールの設定画面
ショートカットキーの設定画面では、筐体左側に用意されたショートカットキーやダイヤルに割り当てる機能を変更できます。
▼各種ツール機能からアプリ実行まで自由自在
▼ダイヤルホイールには、ズーム・ブラシサイズ変更・スクロール・回転などの機能を割り当て可能。
スタイラスペンに関しても、筆圧カーブの調整や、ペン先端のボタン機能を変更できます。
▼アプリごとに異なるプリセットを作成可能。
ディスプレイ設定では、液晶画面の明るさやコントラスト、色温度などを調整できます。
描画エリアの調整にも対応しているほか、画面向きを270度回転させることで、左利きでも快適に使えるようになります。
そして画面上にフローティングメニューを表示させることも可能。ペンでタッチして、事前に設定したショートカット機能をスムーズに利用できます。
「X-Dialショートカットキー」が超便利
筐体左側に配置された「X-Dialショートカットキー」は、各操作を直感的かつスムーズに利用できる非常に便利な存在です。
2つのダイヤルホイールと8個のカスタマイズボタンを活用して、ズーム・ブラシサイズ・レイヤー切り替えなどを指先だけで瞬時に操作可能。
前述した公式ツールで自分好みに機能をカスタマイズすることで、いちいちメニューを開いたりキーボードを触ったりする手間を減らすことが可能。ペンを持ったまま作業が途切れず、制作効率の向上につなげられるでしょう。
▼ダイヤルの滑りは実にスムーズ
以上の通り、カスタマイズ性・操作性の両面でも非常に完成度が高く、効率重視のイラストレーターやマンガ制作者から、液タブ初心者まで直感的に扱える一台となっています。
『XPPen Artist 12 3rd』の良かった点・悪かった点
『XPPen Artist 12 3rd』を実際に使って感じた「良かった点・悪かった点」は以下の通りです。
良かった点
- コンパクトかつ軽量で携行性に優れたデザイン
- 磁気ペンホルダーが便利
- 発色&色精度が優秀
- 紙に近い自然な描き心地
- 高性能スタイラスペンが付属
- 「X-Dialショートカットキー」による直感的な操作
- 公式ドライバーで細かく調整可能
- スペック・機能充実度に対してリーズナブルな価格
悪かった点
- 解像度はFHD止まり(細密編集を求める方には不十分の可能性)
- 付属スタンドは角度調整に非対応
よくある質問(FAQ)



総評:描き心地・発色・操作性のすべてが高水準の高コスパな一大
『XPPen Artist 12 3rd』は、3万円未満という価格帯ながら、描き心地・発色・操作性のすべてが高水準にまとまった高コスパな液晶ペンタブレットとなっています。
AGナノエッチングガラスによる紙のような描き味や、16,384段階筆圧・2g初期反応力を誇るX4スマートチップスタイラスの組み合わせは、上位モデルに迫る完成度であると感じました。
さらに、X-Dialショートカットキーや公式ドライバーによる細かなカスタマイズ性も備えており、作業効率向上にもつなげられます。
特に発色に関しては想像以上に良好でした。sRGB 99%・Adobe RGB 97%対応の液晶は、クリエイティブ作業はもちろん、動画視聴やサブモニター用途にも十分活用できる品質です。
持ち運びやすいサイズ・重量に加え、マグネット式ペンホルダーやスタンド同梱など、実用性と携行性の両立もできています。
解像度がFHD止まりといった制限こそあるものの、入門者から中級者まで幅広くおすすめできるモデルといえます。
この価格帯でここまで完成度の高い液タブは希少だと思います。これからイラスト制作を本格的に始めたい人や、持ち運び用のサブ機を探しているクリエイターには最適な一台です。
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